近江旅支度
2010年 4月 30日

鳥居本合羽

合羽所 木綿屋
天保3年創業、戦前まで合羽を製造していた「合羽所 木綿屋」

 鳥居本宿で合羽製造が始まったのは、享保5年(1720)馬場弥五郎の創業であると伝わります。若くして大坂に奉公にでた弥五郎は、当時、需要に追いついていない合羽製造の改革を決意し、奉公先の坂田屋の屋号を譲り受けて鳥居本宿で開業し、新しく菜種油を使用していた合羽製造に柿渋を用いることを奨励しましたので、一躍、鳥居本宿で雨具の名声はたかまりました。柿渋は、保温性と防水防湿性に富み、雨の多い木曽路に向かう旅人は、こぞって鳥居本宿場で雨具としての合羽を求めるようになりました。
 鳥居本合羽が赤いのは、柿渋を塗布するときに紅殻を入れたことによるとされます。赤い合羽はとくに上もので、主に北陸方面に販売されました。江戸時代より雨具として重宝された渋紙や合羽も戦後のビニールやナイロンの出現ですっかりその座を明け渡すこととなり、今では看板のみが産地の歴史を伝えています。

 
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