2005年 9月 21日

琵琶湖疏水よもやまばなし

琵琶湖に注ぐ河川は主なものだけでも124本、小さな川を加えるとどれだけあるかわからないが、周囲を山に囲まれた滋賀ではほとんどの川が琵琶湖に注ぐ。そして琵琶湖からそとに向かって流れるのが、瀬田川と琵琶湖疏水である。
瀬田川はともかくも、琵琶湖疏水は人工的につくられたもので、近代日本初の土木工事として疏水をテーマにした作品は多い。『野洲川物語』の著者、田村喜子さん『「インクライン物語』で土木工学文学賞を受賞、『隣地まちづくり学』の著者、織田直文さんも若い時代に『琵琶湖疏水』を著している。
当社で、はじめて疏水をテーマとした作品を発行することになった。

琵琶湖疏水の周辺の歴史や文化を学び楽しむ「びわ湖疏水とさざなみの会」が創立20周年を記念して『びわ湖疏水よもやまばなし』を発行することを企画された。
とはいうものの、底本は、かつての会の代表を務めた浅見素石さんの連載があった。

浅見素石さんは、幼稚園の頃、あめだまを食べた後、手にした棒を疏水に放り込んだとき、琵琶湖と反対の方向に流された棒の行方を不思議に感じておられたという。小さな頃からの疑問が今回に著作に結びついたのである。現在80歳を超えておられるので、半世紀以上も前の疑問から誕生したのである。浅見さんは、「疏水の歴史や工事については多くの作品があるので、疏水のまつわる周辺のことを書いてみました」とお話されている。
そのとおり、多岐にわたる周辺の四方山話が詰め込まれた楽しい原稿に仕上がった。ぎっくり腰に悩まされながらのご苦労がしのばれる筆跡である。創立のお祝いが10月23日に決まっていることから、大特急の仕事になる。それでも出来上がりが楽しみである。
多彩な浅見さんは一昨年には『近江の玩具』を発行、篆刻は玄人はだし、ご専門の衛生学のほか、いつぞや河童の研究もされていることをお聞きした。
今回の出版は、元会長の日本画家鈴木靖将さんも少しはお手伝いいただくことになろうが、装丁までもお引き受け頂いた浅見さんの博識、多彩ぶりが発揮される書籍になりそうである。

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