伊吹の花畑に還った円澄さん
冒頭に掲げたのは、淡海文庫『伊吹百草』の口絵です。
その著者である福永円澄さんがお亡くなりになったとの
悲しい知らせが、今日の朝一番に届きました。
福永さんは小学校教諭や文化財専門委員などを経て、
旧伊吹町の町史編さん室長として、地元の歴史や
民俗文化、自然などの調査を進めてこられました。
とくに滋賀県の最高峰・伊吹山については、
「歩いていない尾根や谷はない」ほどの“通”だったとか。
前掲書は自らの豊富な体験をまじえて綴られたエッセイですが、
「早春曼陀羅」として植物に関する詩も添えられています。
そのなかから一つ、「椿」を以下に引用いたします。
椿
つらつら椿が
咲きました
雪解の山の
日だまりに
つらつら椿は
春の花
もえるこころの
赤い花
つらつら椿は
愛の花
さびしい別れの
山の花
つらつら椿
つらつばき
ちぎりを惜しむ
つら椿
春の訪れとともに伊吹の花畑に還られた福永さん。
お通夜と告別式は、自らご住職をつとめておられた
伊吹山のふもと光了寺で行われるそうです。
社員一同、謹んで哀悼の意を表します。
(編集部Y)