城下町と招き猫

 日本三大繁盛マスコットのひとつ、招き猫(残るふたつは恵比須大黒さんと福助さん)を専門に扱うお店「招福本舗(しょうふくほんぽ)Happy・ Jack」がこのたび彦根のご城下に誕生いたしました。この城下町と招き猫の取り合わせにつきましては、いささか見落とせない縁とゆかりがございます。いったい何ぞや? それにつきましては、昨年五月に発行された滋賀県人のための新約聖書(バイブル)『まるごと淡海(おうみ)』に収録の次の文章をご覧くださいませ。 
 
第四章 淡海学上級編
 ポンポコ ニャーと「福助さん」より一部抜粋

 ところは、花のお江戸。ある日彦根藩主、井伊直孝さんが、鷹狩りの途中で大雨に降られたので、近くのお寺の軒下に逃げ込んだ。ヤレヤレと思ってふと見ると、寺の奥で猫がじーっと直孝さんを見つめている。その猫が前足で顔でも撫でていたのであろうが、どうも直孝さんには自分を招くしぐさに見えたらしい。
 で、招かれるまま、寺に上がってしばらくすると、「バリバリバリッ、ドドオーン」軒先の木に落ちたんだな、雷が。
 直孝さん、すんでのところで黒こげになるところを猫のおかげで命びろいできたと大喜び。その後、この寺「豪徳寺」は井伊家の菩提寺となって繁盛したってお話。これらの話に基づいてできたのが、猫のお札、そして「招き猫」

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新撰 淡海木間攫

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