●編集部インタビュー2

変わる環境商品

 
 ETプロジェクトのパートナーである平和堂は、昨年の暮れより県内6店舗(現在、県外1店舗を含む8店舗)でエコナビグッズコーナーを新設しました。これまで「地味で売れなさそう」だった環境商品のポジションが、少しずつ変わろうとしています。
 ここでは平和堂環境対策室の龍圭之輔さんにお話をうかがいました。

▽実際、環境商品の売れ行きは、そうでない商品と比べて悪いものなんですか?

▼一般論として言われるのは「環境商品は高いから売れない」ということです。しかし最近は、一般の商品と同じ価格の物もずいぶん増えてきました。むしろ問題なのは、お客様が商品を選ばれる際に、機能性やデザイン、価格、ブランドイメージ、環境配慮などのうち、何を一番の選択肢にしておられるかです。
 商品のジャンルによって選択肢の順位は変わるでしょうが、少なくともいま、環境配慮が一番で、機能やデザイン、価格が後にくる消費者は非常に少ないと思います。だから、環境商品は売れないというのが正確なところでしょうね。ですからエコナビでも、機能性やデザイン、商品イメージがよくて、よく見れば環境にもやさしい商品だった、というものを発掘しています。まだまだ少ないですが。

▽売れにくい商品にスペースをさくことは、企業の「利潤追求」からすると矛盾しますが、それでもやる意義というのは?

▼滋賀県は琵琶湖を抱え、早くから「環境熱心県」として行政も県民もいろいろな取り組みを進めてきました。
 ご存知のように、平和堂は滋賀県で生まれ、県民の皆様に育てていただいたのですから、環境問題に取り組むことは当社の使命だと考えています。

▽御社の取り組みの一つ「お買い物袋持参運動」(お買い物袋持参で5ポイント進呈。このポイントは5円の現金として消費者に還元される)は全国に先駆けて生まれた方式として注目を集めましたね。

▼10年前から始めていますが、昨年の持参率は30.3%(滋賀県内の店舗)と、全国でも飛び抜けて高い数字です。このことを平和堂の誇りに感じていますし、当社の活動に支持をいただいている証しだと考えています。今回のエコナビ商品の展開は、平和堂がお客様と一緒に取り組む環境対策の、次のステップです。そういった意味で多少時間はかかるかもしれませんが、大切に育てていきたいと思っています。
 また、一方で流通業界は大競争時代を迎えていますから、エコナビの取り組みが他社との差別化になり、企業イメージ全体に良い効果をもたらすと考えています。

▽長い目で見れば、間接的に「利潤の追求」につながるということですね。

▼そうです。大きな視点で考えると、社会に貢献できない企業は永続しません。一方で適切な利潤を確保し、その利潤を再投資することで企業は発展し、社会的貢献もできるわけです。ですがミクロな部分では、こういったことはなかなかご理解いただけません。講演の後の意見交換会でも、参加者の方から「使い捨てを助長する100円ショップをテナントに入れるのは、利潤だけを追求しているからなのでは」と厳しいご意見をいただきました。
 ここでおわかりいただきたいのは、全体としての兼ね合いが必要だということです。お客様に人気の100円ショップに入店してもらうことも小売業の使命であり、極端に申し上げれば、もし平和堂が環境商品ばかりで品揃えをしたら、来店客数は減り、店舗は閉鎖に追い込まれるでしょう。そうなれば、こういった環境への取り組みも到底できなくなります。従って、どこでバランスをとるかが、非常に難しいわけです。

▽最後に、環境マーケットは、将来的に有望だと思われますか?

▼平和堂が扱っている一般消費財の環境ビジネスチャンスは、あと5年間ほど待てば本格化してくると思います。

▽その時までにどんな環境商品が生まれてくるのか楽しみです。今日はどうもありがとうございました。

(3月16日 平和堂本部にて)

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