近世への扉を開いた羽柴秀吉

淡海文庫 61
近世への扉を開いた羽柴秀吉 長浜城主としての偉業を読む

太田 浩司
B6判 200ページ 並製
ISBN978-4-88325-190-2 C0321
奥付の初版発行年月:2018年10月
書店発売日:2018年11月09日
在庫あり
1500円+税

内容紹介

織田信長の家臣として浅井氏攻めの先鋒をつとめた羽柴秀吉は、長浜城を築いて、その城下町を「日本近世」の原点となる都市へとつくりかえた。
戦乱の地となった村から逃れた農民に安全を保障して年貢の安定的な徴収をうながす一方、城下の長浜では年貢を免除する朱印状を交付して職人や商人の移住を進めた秀吉は、その後の徳川政権下においても密かに「神」として祀られつづけるようになる。
地元でもあまり知られていない事実も交えて、元長浜城歴史博物館館長の著者が、わかりやすく解説。

目次

1章 浅井攻めと秀吉
2章 長浜城の築城と構造
3章 長浜城主時代の秀吉家臣団
4章 秀吉と国友鉄砲鍛冶
5章 秀吉の領国統治
6章 秀吉の城下町・長浜
7章 秀吉が与えた朱印地
8章 長浜の旧町名と城下町
9章 賤ヶ岳合戦と秀吉
10章 伝秀勝墓の発掘と埋葬者
11章 湖北・長浜での秀吉信仰
12章 秀吉以後の長浜の発展

前書きなど

この本は、表題に反して秀吉賛美の本ではない。秀吉が天下人となったのは偶然だが、その天下を取った秀吉が最初に城主であった長浜の地に、日本近世(江戸時代)の原点があるのは必然である。その意味では、秀吉という人物を通して、日本の近世社会のルーツを探る意図があり、日本の中世から近世への変革の深層を探る。
秀吉の業績は、今の長浜という町を、単なる地方都市に留まらない、由緒ある町にしている最大の理由である。そこを、とことん掘り下げてみた。だから、それは長浜という町の地方史でありながら、全国に通じる歴史でもある。明治維新にも勝ると思われる、近世社会の創出という日本の大構造改革の波が、この地方都市から起きたのである。今の日本は「地方創生」がささやかれるが、この長浜の四百年余りの前の実例を、再起するイメージかもしれない。その時の長浜は秀吉のおかげで必然の成り行きの中、変革の嚆矢となったが、今は地域住民の努力なしに果たせないという現実がある。
長浜の過去を検証し、数少ない古文書や地上に残った地形や地名などにより、この町がたどった歴史を正確に跡付けようとしたのが本書である。けっして秀吉を称賛することはしないが、長浜の町がたどった歩みには敬意をもって接したい。長浜という地方都市を出発点とする日本近世史がここで繰り広げられる。

著者プロフィール

太田 浩司(オオタ ヒロシ)

昭和36年10月、東京都世田谷区生まれ。昭和61年3月、明治大学大学院文学研究科(史学専攻)博士前期(修士)課程修了。専攻は、日本中世史・近世史。特に、国宝「菅浦文書」や、戦国大名浅井氏に関する研究。昭和61年4月から市立長浜城歴史博物館(現在は長浜市長浜城歴史博物館)に学芸員として勤務。担当した展覧会は、特別展『石田三成 第2章-戦国を疾走した秀吉奉行-』(平成12年)、特別展『戦国大名浅井氏と北近江』(平成20年)、NHK大河ドラマ特別展『江~姫たちの戦国~』(平成23年)など多数。著書に『テクノクラート小堀遠州』、『近江が生んだ知将 石田三成』、『浅井長政と姉川合戦』、『湖の城・舟・湊 琵琶湖が創った近江の歴史』(いずれもサンライズ出版)がある。平成23年NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」では、時代考証スタッフを務めた。平成26年4月から、長浜市長浜城歴史博物館の館長を3年間務める。市民協働部次長を経て、平成30年4月から現職。

   

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