菩提寺山(別名:龍王山)の東麓に広がる湖南市菩提寺地区は、良弁開基の少菩提寺に由来する名を持ち、多くの石造文化財が残されている地でありながら、名神高速道路の建設以降は京阪のベッドタウンとして新興住宅地が形成され、人口が急増した地域です。
開発による変貌が進むなか、地域の歴史をこつこつ調べてきた鈴木儀平さんの講義をもとに、住民の有志が地域史をまとめる作業を行っています。完成を見ずに鈴木さんが昨年死去、遺志を継いで編集作業に取り組んでおられる皆さんにお話をうかがいました。
[表紙写真]
菩提寺山の石仏群 撮影者:廣瀬保さん(儀平塾)
平成21年(2009)2月に、菩提寺まちづくり協議会の文化芸術事業として「歴史の小径」の造成を手がけることになり、旧墓地周辺や「歴史の小径」の周りに転がっていた石仏を集めたものです。
写真の石仏は、一般には「お地蔵さん」と呼ぶ人が多いですが、地蔵菩薩ではありません。中世から江戸初期にかけて、極楽での救済を願って墓に並べて置かれた阿弥陀仏の一石一尊仏、阿弥陀仏とお釈迦様の一石二尊仏です。墓石にあたる一石五輪塔もたくさん集められました。