2022年 7月 07日

中日新聞で太田浩司著『北近江地名考 土地に息づく歴史』が紹介されました

 
▼著者太田浩司さんが明かす/ほんの裏ばなし/地域の歴史 物語る“証人”
 
 この本は地名研究がテーマだが、ありがちな語源研究本ではない。たとえば「滋賀県」の「滋賀」は、「石の多いところ」を意味するという。しかし、あくまでも推察に過ぎないし、話がそれ以上広がらない。それよりも、「滋賀」という地名が、有史以来どのように変遷したかを考えるほうが面白い。「滋賀」はもともと、県庁の所在地の大津町があった郡名である。全国の都道府県名は、その多くが県庁所在地の都市名(たとえば「岐阜」)か、郡名(たとえば「愛知」)から取られている。
 
 滋賀県が「大津県」ではなく「滋賀県」になったのは、初代県令(県知事の前身)の松田道之が、江戸時代の大津代官所の名残を残すのを嫌ったからだという。明確に書いたものを知らないが、近江国最大の藩があった「彦根」が県名にならなかったのも、新政府にとって彦根藩の井伊直弼が宿敵であったからだろう。「滋賀」の語源を探っても歴史は見えてこないが、その名の変遷を探れば明治維新史を語ることができる。……(中日新聞2022/07/02夕刊、07/14朝刊
 
北近江地名考 土地に息づく歴史
ISBN978-4-88325-758-4
 

 

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