オーストリア辺境の旅
渡辺 佐 著
朝比奈隆率いる大阪フィルハーモニー交響楽団、初の欧州公演の記録「聖フロリアンの鐘」。名演ブルックナー交響曲第7番の誕生秘話が新訂版で甦る。また、モーツァルトやベートーヴェンの遺跡ほか、中世ヨーロッパの面影を残すオーストリア辺境の歴史遺産を訪ねる。
目次
■第一部 聖フロリアンの鐘(新訂)
1 一通の航空便/遙かなるヨーロッパ/ふくらむ期待
2 プランはできた/暗雲・石油危機/矢は放たる
3 指揮者造反/八方ふさがり/ブルックナーに賭ける
4 五人の音楽ファン/頼みの綱も/あと三〇〇〇万円!
5 募金をしよう/拡がる善意の波/曙光
6 悲劇の前兆/予算は承認されたが/沈黙のトランペット
7 ヨーロッパ下検分/中傷─李下に冠を正さず/競艇が助け舟
8 出発/微笑むレマン湖/スケルツォ
9 聖フロリアン修道院/エピローグ
■第二部 ウィーンの森の奥の物語
プロローグ
1 北の森の大作曲家たち
モーツァルトの遺跡捏造/ベートーヴェン遺書の家の疑問
ワインの町の謎の家/死の前年も北の森へ
2 森と石と豪族と
ヴァルトフィアテルとワインフィアテル/森の奥から海の幸、石の幸
ウィーンのセレブ憧れの貴石/異端者の町と城/ローゼンブルク城の惨劇
難攻不落の二城砦/霧雨に煙る亡命者の町/ゲマインデからマルクトへ
3 プランガー探訪
晒しの刑罰/その起源 大樹信仰の名残りか/裁判権のシンボル
ドイツ語圏最大のプランガー/騎士か死刑執行人か
さまざまな付属物/二時間晒された無実の娘/絞首台も残っている
4 勝者の驕り、敗者の悲惨
メーレンの十字架/処刑農民の石像