漢詩百集
白井 茂治 編

A4判 211ページ 並製
2013年12月 発行

内容紹介

 思い出したくもない大東亜戦争。その戦争が終わって復員して帰ってきた時、我が郷土のシンボル近江富士(滋賀県野洲市の三上山)が一段と奇麗に目に映り、ぼう然とその場に立ちすくみました。ちょうどその時、頭の上をスーッと「国破れて山河あり」との句がかすって通り抜けて行きました。そうしてその後もその句の意味なぞ分からないままに時折口ずさんで、私の脳裏から消え去ろうと致しません。
 そんなある日、その句がある有名な漢詩の前段であったことが分かりました。今から千三百年程も前の中国(中華人民共和国)の唐王朝時代に詩聖と呼ばれていた杜甫先生の詩で、しかもその詩が七五五年の安史の乱の時、逃げおくれられた先生が賊軍(安禄山軍)に捕まり、その獄中で詠まれたものとただただ驚き、深い感動におちいりました。
 国が違っても人種が違っても、また千年以上もの昔も今も、人が人としてその時その身になって考えることが、皆同じように思われてきて、繰り返しているうちに、その詩からの奇麗な文化の香りに誘われてついつい漢詩のとりことなりました。
 そんな事から中国の漢詩を主体に百人の先生方の詩を一詩ずつお借りして、その全文を、また抜粋文を訳文もそのまま、または私なりの訳文を加えてここに漢詩百集をこころみました。(「はじめに」より)

   

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