ナイチンゲールの看護思想を求めて 看護職者として歩んだ60年を振りかえる
B5 312ページ 並製
ISBN978-4-88325-766-9 C3047
奥付の初版発行年月:2022年06月
書店発売日:2022年07月01日
在庫あり
看護師になってナイチンゲールの看護思想を求めつつもその機会に恵まれなかった。そして、ようやく看護研修学校(教員養成課程)で求めていたナイチンゲールの看護思想にめぐり合えた。この喜びと感動を、自分個人のものにとどめるのではなく、広く看護職者と共に学び合い、実践につなげることを目ざした人々と共に共有していきたいと願う。そして、こうした多くの方々によって支えられ、育てられた賜を、看護師・看護教員をして歩んだ60年間を振り返った一冊。
第1章 私の看護職者をめざして歩み始めた頃とナイチンゲール
第2章 高等学校・大学で学ぶ
第3章 看護師をめざしての学びと臨床
第4章 看護教育の世界で働く
第5章 転機—短期大学で働く
第6章 米国バージニア州立ジョージ・メイソン
大学大学院(修士課程)看護管理学専攻に留学
第7章 新設の「国際医療福祉大学」(栃木)で働く
第8章 岐阜大学で働く
第9章 大阪市立大学で働く
第10章 東京有明医療大学で働く
第11章 聖泉大学大学院看護学研究科で働く
第12章 私に残された課題と夢
あとがき
はじめに
2020年は近代看護の祖、ナイチンゲール生誕200年の記念すべき年であった。
この年、新型コロナウィルスの感染が全世界に拡大し、3 密を避けることやマスクの着用、手指消毒およびソーシャルディスタンスを守ること等、これまでの生活習慣を変え新しい生活様式を考え行動することが望まれるようになってきた。
これまで考えることもしなかった厳しい状況の中で、私はナイチンゲールの偉業を思い出していた。19世紀に活動したナイチンゲールは、環境の重要性、特に換気に関する重要性を強く訴えていたではないかと。ナイチンゲールは、その著「看護覚え書」で、人間、健康(病気)、環境、看護とは何であるのかを定義した上で「換気と保温」の項で換気の重要性と具体的な方法論を展開している。また「病院覚え書」では、“病院が備えているべき第一の必要条件は、病院の病人に害を与えないことである”と述べ、病院の衛生状態や病院設計と病院構造の欠陥をあげ、それらの改善を促しているのである。このように先見の明をもつナイチンゲールの看護思想の見事さに今さらながら驚かされる。そのナイチンゲールの看護思想を求めて歩んできた私。
ナイチンゲールの実像も知らずに「白衣の天使」というナイチンゲール像と「ナイチンゲール誓詞」を看護師の任務の鏡と信じて准看護師を目ざした時代、臨床を重ねる中で看護とは何か? 看護師とは何をする人なのか?と悩みつつ答えを求めていた時代、その頃ナイチンゲールの看護思想は私の近くにはなかった。その後、看護師になってナイチンゲールの看護思想を求めつつもその機会に恵まれなかった。そして、ようやく看護研修学校(教員養成課程)で求めていたナイチンゲールの看護思想にめぐり合えた喜びと感動。それを自分個人のものにとどめるのではなく、広く看護職者と共に学び合い、実践につなげることを目ざした時代。このような歩みができたのも、これらの流れの過程で多くの人たちと出会い、学びを実践する機会に恵まれたからである。こうした多くの方々によって支えられ、育てられた賜である。感謝してもしきれない。
看護師・看護教員をして歩んだ私の60年は、さまざまな困難に出合いながらもそれを乗り越えてこられたのは、ナイチンゲールの看護思想との出合いが大きく関係していたと思っている。ナイチンゲールの看護思想は、汲めども尽きない豊かな泉のようである。後しばらくでこの仕事を終えるが、これから先もナイチンゲールの看護思想をもとに看護とのかかわりを続けていきたいと願っている。
令和4年 小春日和の日に 城ケ端 初子
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