滋賀の文化情報誌デュエット新撰 淡海木間攫
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其の七十ローリエの枝 ルネ・ラリック
1921年にシールペルデュ(蠟型鋳造)で制作されたこの花瓶は、ちょうど手のひらに収まる大きさで、一見シンプルな小品にも見えますが、手には天然石のようなあたたかな感触が伝わります。裾文様にやわらかに溜ま -
其の六十九ヒトエグモ Plator nipponicus (Kishida, 1914) クモ目ヒトエグモ科
ヒトエグモは、頭部先端から腹部後端までが5~8㎜(脚を含めた横幅は約20㎜)と小型のクモ類です。しかし、その特異な形態と、生態の謎から、日本のクモ関係者の間で注目されています。まず、ヒトエグモの体形は -
其の六十八絵絣の見本
田上郷土史料館には、衣生活資料が多数収蔵されています。なかでも女性が腰に巻いていた「三幅前垂れ」(7ページ写真)は、さまざまな絵絣で織られており、華やかな印象を与えます。絵柄は、年齢によって使い分けて -
其の六十七「日本藩史」草稿 北川舜治著 静里文庫蔵書
「日本藩史」は、日本各地の藩主について記した歴史書で、静里文庫の蔵書として10冊の自筆草稿と、15冊の自筆校本があります。草稿は、マス目や縦罫入りの用紙に記されています。一方の校本は、舜治が開いた私塾 -
其の六十六日野祭礼之図 渡辺雪峰
渡辺雪峰は、山梨県富士吉田出身の日本画家・書家。明治元年、幕末の志士新徴隊の一員であった父平作の次男として、山形県庄内で生まれました。明治6年(1873)、郷里の富士吉田に父とともに帰郷し、絵を嗜んだ -
其の六十五小型横型水冷ディーゼルエンジンHB型
これは、ヤンマーが世界で初めて小型実用化に成功した横型水冷ディーゼルエンジン「HB型」です。(出力/回転数:5─6馬力/550─650rpm、ボア×ストローク:110mm×190mm、気筒数:1、機関 -
其の六十四五百井神社 木造男神坐像
冠をかぶり袍(上衣)を着ける貴族の姿をし、瞋怒相をあらわすこの神像は、栗東市下戸山の五百井神社の主神像です。10世紀後半から11世紀初めの作品と考えられています。木俣神を祭神とする五百井神社は、延長5 -
其の六十三「朝霧の川」中路融人
この絵は、湖国の原風景に心惹かれ、60余年もの間、その風景を追い求め、描き続けた日本画家・中路融人(文化功労者・日本芸術院会員)の作品です。その作品に向き合うと、画面からは不思議と肌寒い季節の凛とした -
其の六十二大津算盤
時は慶長17年(1612)、ある一人の男が、新たに長崎奉行に就任した長谷川藤広に同行して長崎に旅立ちました。その男の名は、大津一里塚町(現、大津市大谷町)の片岡庄兵衛。このとき庄兵衛は、長崎に舶来して -
其の六十一「生命の徴─滋賀と「アール・ブリュット」」について
滋賀県の福祉施設では、戦後間もない1948年から粘土による造形活動が行われていました。その活動は、障害のある子どもたちの教育的な営みとして、かつ職業訓練の場として、1946年に設立された近江学園(現:
