2008年 3月 14日
天然記念物「深泥池」
京都の北、14万年前の氷河期にその起源があるとされる「深泥池」
この池の自然と周辺の人びとの暮らしの変遷、さらには深泥池の保全活動を展開する人びとなどを網羅したまさに深泥池の百科事典といえる書籍『深泥池の自然と暮らし-生態系管理をめざして-』がようやく完成した。
深泥池は、普通によむと「みどろいけ」であるが、本書は「みぞろいけ」と呼ぶ。
この池の調査に係った7人の研究者を中心に、生態学、生物学、地質学、考古学、歴史学などあらゆる分野の専門家が、より平易に執筆いただき、実際保全活動に係る児童・生徒にも理解できるように腐心された。それだけに制作に時間を要し、まさにようやくという言葉がぴったりである。
時間がかかった分、その出来上がりには自信が深まる。
自然環境が激変し、道路の開設問題が浮上する中、瀕死に近い深泥池、洛中洛外図屏風にかかれた風情は薄れている。それでも四季の自然の変化に富み、都会の喧騒から少し離れただけなのに、豊かな自然が広がる。
できあがった書籍を手にすると、2006年の冬、深泥池に隣接する集会所で、地元の古老のお話を聞いたことが思い出されてきた。以前はどこもがそうであったように人と自然、水環境を取り巻くお話が思い出される。水がぬるみ、芽生えの時期、深泥池は今どのような姿を見せてくれるのであろうか。
この本を片手に散策はいかがか。
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