[チャレンジエリア] 子供たちにエンジンの仕組みを理解してもらう場合、言葉で説明してもあまりピンとこないんですね。 ヤンマー株式会社 総務部 ヤンマーミュージアム 多賀 恵さん

──入館して、1階のチャレンジエリアへの入場の仕方が、凝ってますね。

多賀 開館の午前10時を最初に、15分単位で1回、「チャレンジシアター」[1]が上映されるので、それをご覧になってからの入場となります。スクリーン部分が左右に開く扉になっており、映像が終了するとバーッとオープンします。

 ただし、1回の定員が50名までなので、小学校単位のような多人数の場合は、多目的ホールで同じ映像を上映し、観覧終了後、裏口から入場していただくこともあります。

──順路は決まっているのですか?

多賀 まずヤンマーカードを登録していただきます。設置されている登録機で、プレイヤー名の登録していただきますが、これは本名でなくニックネームで結構です。

 それぞれのコーナーをチャレンジする際にカードをかざしていただき、獲得した得点がポイントとして加算されていきます。

 チャレンジエリアは、ランドエリアとシティエリアとシーエリア、大地・都市・海の3つに分かれていますが、興味がある好きなコーナーから回っていただいてかまいません。

──まずが中央にどんとある「サステナブルエナジークライミング」[2]。sustainable energyは「持続可能なエネルギー」という意味ですね。

多賀 みんながチャレンジしたエネルギーで街に灯りがともるというイメージです。高さ約2mのクライミングはそのまま、高い6mのクライミングはハーネスをつけて安全を確保したうえで登っていただいています。上がった高さごとにライトがどんどん点灯されていき、一番上まで到達したら、ボタンを押して降りてくる。壁は見た目がビルの形になっています。

──けっこう高いですね(笑)。

多賀 途中で一度下を見てしまうと、もう登れないですね(笑)。降りるときは、スタッフが「手を離してください」と声をかけます。ハーネスにぶらさがった恰好で壁を蹴って降りるのが正しい降り方なのですが、なかなかできません。もう一度壁の出っ張りをつかみながら中ほどまで降りて、ようやく手を離す人が多いです。私も下から見ながら、なんでできないのかなと思っていたんですが、怖いんですよ(笑)。

──その内側の空間を用いて「ざくざく!パワーショベルチャレンジ」[3]のコーナーがあります。大人の方も並んでますね。

2 サステナブルエナジークライミング・3 ざくざく!パワーショベルチャレンジ

多賀 リニューアル以前にも、パワーショベル体験のコーナーがあり、人気だったので形を少し変えて残されたコーナーです。操作方法は実際に販売している機種と同じで、最初にスタッフが説明します。

 真ん中のボールをシャベルですくって、左右どちらかのライトがつくので、ついている方にボールを落としていただくと、下のところについているセンサーの前を通ったボールの数がポイントになります。

──これは何歳ぐらいから?

多賀 保護者のひざの上に座っての形ですが、基本2歳から体験していただけます。3歳からは1人で。現状、1回1人90秒間の体験になりますので、一番列が長くなるコーナーとなっています。

──シティエリアの最後に「キッズエナジーアスレチック」[4]のコーナーです。

4 キッズエナジーアスレチック

多賀 上の段が小学1年生から中学生まで。下の段が未就学児用です。入っていろんなところをくぐり抜けたりしてもらいます。入口と出口でカードをピッとしてもらえれば、ポイントがたまります。小さいお子さんが全身で遊べるコーナーです。

──つづいて、シーエリアの「ウェイクサーフィンボートレース」[5]のコーナーです。

5 ウェイクサーフィンボートレース

多賀 守山市にあるヤンマーマリーナから出航したプレジャーボートを操縦して琵琶湖を進みます。レバーを前に倒すと速度が増して、後ろに倒すと減速します。適正スピードになると、リングがたくさん現れるので、それをくぐれば、ポイント獲得です。リング以外の魚などが現れたらよけてください。そのうち、ヤン坊マー坊も現れますよ。

──角のシアタールームのような「マイフィッシュ マイオーシャン」[6]のコーナーです。

6 マイフィッシュ マイオーシャン

(子供たちの声)あつまれ、あつまれ〜。

──ここは声を出すコーナーなので、盛り上がってる感がすごいですね(笑)。

多賀 いろいろな魚を育てて、捕る養殖を体験してもらいます。「集まれ」と声をかけると、映像の魚が寄ってきて、上からエサが落ちてきます。魚を食べるサメやタコたちも寄ってくるので、その時は画面をタップしてサメをやっつけたり、タコの場合は墨を吐いてくるので、その墨を消したりしながら、自分の魚を守ります。最終的には、自分が育てた魚を網ですくってポイントにします。

──そして奥へ進んで、ランドエリアの「たがやせ!フィールド」[7]です。

7 たがやせ!フィールド

多賀 最近のお子さんは農業体験をあまりなさることがないので、このコーナーでは鍬を持って畑を耕す体験をしてもらうコーナーです。赤い棒が鍬にあたり、5人が並んで90秒間体験することになっているのですが、人数が集まらなければ、1人でも始められます。ここも難易度をハードとイージーの2段階から選べます。赤丸をたたいてください。石はたたいてはいけません。

──ゲームの「太鼓の達人」感覚ですね……ということはわかるのですが、この姿勢だとうまくできません。

多賀 ポイントがたまると、トラクターが出てきて、一気に耕してくれます。

──つづいて、「リズムエンジン」[8]です。

8 リズムエンジン

多賀 これはエンジンの動きに合わせて体を動かすコーナーです。まず、吸気から始まって、空気を圧縮して、燃焼が行われて、最後に排気。この一連の動きに合わせて、白い矢印が表示されるので、その矢印を手でなぞって消していただくと、その消した部分によって点数が獲得できます。より多くきれいに消せれば高得点となるわけです。他のコーナーと同様に難易度がハードとイージーの2段階から選べます。ハードの方が動きが早くなるんです。

──最先端の技術を使っていますよね。

多賀 仕組みとしては、モーションキャプチャという技術が使われています。子供たちにエンジンの仕組みを理解してもらう場合、言葉で説明してもあまりピンとこないんですね。自分でそれに合わせて動くことで流れを覚えてもらえたら、大人になってからでも、エンジンって、こうで、こうで、こうなって、こう動くんだったよなと思い出してもらえるのではないかと。

──それから一番奥に特別なコーナー、「フットボールチャレンジ」[9]があります。

9 フットボールチャレンジ

多賀 ヤンマーはセレッソ大阪のスポンサーでもあるので、サッカーと深いつながりがあります。ここは、元セレッソ大阪で、現在はスペインでプレーしている乾貴士選手のパスを受けてゴールを決める体験ができるコーナーです。1人2球まで、ゴール位置によってポイントが異なり、高い場所に決まれば高ポイントです。

 映像は、スタッフがスペインまで行って、このために撮影させていただいたオリジナルの動画で、当館名がプリントされた特別製ユニフォームを着ておられます。「ゴール!」などの音声も、セレッソ大阪のホームゲームでスタジアムDJを務めている西川大介さんの声を録音させていただいて使っています。

──最後にポイント集計に2階へ来ました。

多賀 「マイアース」10‌の端末にカードをかざすとポイントが集計され、チャレンジエリア中央に掲げられているパネルに今日の順位と、左側にリニューアル後の総合得点順位が出ます。お帰りの際には、リライト機にカードを通して、プレイヤー名やポイントを印字してください。

10 マイアース

 いま、トータルで1位の「はるき」君は、たぶん近くに住んでいるお子さんでしょうね(笑)。有効期限は使い始めからちょうど1年後までで、平日にも来て、同じコーナーを何回も何回もやっているのかもしれません。リニューアル前の年間パス(1000円)が有効な間は、友達どうしでしょっちゅう来る子もいます。

──今日1日だけでポイントが1万超えてる人というのは、どうなってるんですか?

多賀 ご家族で来て時間が自由に使えるような場合、半日、あるいは丸一日過ごされる方もけっこういらっしゃいますので。

ページ: 1 2 3 4 5

連載一覧

新撰 淡海木間攫

Duet 購読お申込み

ページの上部へ