新撰 淡海木間攫

其の三十六 千代ゆかりの鏡箱

鏡箱

 来年(2006年)のNHKの大河ドラマ「功名が辻」は北近江(湖北)が舞台となります。物語の主役、戦国武将・山内一豊は、尾張(愛知県)で父を織田信長に討たれて、一家で近江へやってきます。 その落ち着き先になったという伝承をもつ米原市宇賀野(うかの)の長野家には、一豊や妻千代ゆかりの品々が伝わっています。 よく知られたエピソードで、馬揃えで参内することになった夫に、駿馬を用意してあげたいと思った千代が、購入資金として黄金10両が入った金子を取り出したのが、この鏡箱(ただし、長野家では、黄金5両を千代の母・法秀院が取り出したと伝わっています)。蓋の表面には宮中を描いた蒔絵が施されており、箱の内側は朱塗りです。鏡は青銅製で、裏面には松の木と鶴の柄が彫られています。その他にも長野家には、法秀院が使ったとされる一升桝、一豊が馬に乗るときに使ったという鉄製の轡も伝わっています。 宇賀野の南隣にある米原市飯(い)は千代の出生地、虎姫町唐国(からくに)は一豊の初の知行地となった場所とされます。小谷城落城後、秀吉に従ってきた一豊は、1000石(実際には400石だったとされる)分にあたるこの地をもらったのでした。 また、千代が名馬を手に入れたのは、中世から牛馬市が盛んに行われていた木之本町木之本の馬市だったと伝わっています(安土の城下町とする説もあり)。

Duet編集部

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