2021年 4月 12日

中外日報で小寺慶昭著『近江の狛犬を楽しむ』が紹介されました

 
▼「浪花」の進出 阻む近江商人
 
 全国推定7万対の狛犬の悉皆調査を志す著者が滋賀県の1826社と4寺を調査し、「参道狛犬」1385対を分析した。
 
 県内神社の狛犬の設置率は約61%で、全国平均の59%と比べ少し高い。京都50%、大阪78%、兵庫50%、三重61%、和歌山55%、東京23区43%となっており、戦前に神社合祀が徹底された地域で設置率が高くなると分析している。
 
 全国の神社の参道に狛犬を建てるのが一般化するのは江戸時代の承応年間(1652~55)以降で、大衆化するのは天明(1781~89)からという。県内最古の参道狛犬は甲賀市土山町・加茂神社の1793年の狛犬だが「街道からも外れた村に時期が早すぎる」と首をかしげる。江戸時代の狛犬のほとんどは大坂商人が広めた「浪花狛犬」型だが、近江商人の地元には一切ない。代わりになぜか「出雲狛犬」型が普及していると指摘する。
 
 著者が「日本一の狛犬」とたたえるのが栗東市・大宝神社の重要文化財・木造狛犬(鎌倉時代初期)だ。神殿に置かれる「陣内狛犬」だが、石造狛犬の産地として知られる愛知県岡崎市の職人が本像をモデルとしたことで全国に広まった。獅子・狛犬の違いの俗説の検討や、賽銭泥棒と間違われない工夫など調査中の逸話も面白い。
 
 定価1650円、サンライズ出版(電話0749・22・0627)刊。(中外日報2021/04/02)
 
近江の狛犬を楽しむ
ISBN978-4-88325-199-5
 

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