近江の平成雲根志

琵琶湖博物館ブックレット 5
近江の平成雲根志 鉱山・鉱物・奇石

福井 龍幸
A5判 124ページ 並製
ISBN978-4-88325-619-8 C0357
奥付の初版発行年月:2018年01月
書店発売日:2018年02月01日
近日刊行予定
1500円+税

内容紹介

かつて滋賀県に多く存在していた石部村銅山や富川銀山などの鉱山を『甲賀郡志』『滋賀県管下近江国六郡物産図説』などを紐解き、取り上げる。また、県下で産出した水晶、宝石などの鉱物や、江戸時代の本草学者・木内石亭が記した『雲根志』に掲載された、振るとコロコロと音のなる奇石などについても豊富な写真とともに解説。

目次

第1章 鉱山
1 銅鉱山
2 アンチモニー(安質母尼)鉱山
3 金鉱山
4 銀鉱山
5 トパーズ(黄玉)採掘場
6 鉛鉱山
7 蛍石鉱山
8 マンガン鉱山
9 鉄鉱山
10 砥石(砂岩質ホルンフェルス)採掘場
11 白土(火山灰)採掘場
12 水晶(六方石)採掘場
13 石灰岩鉱山
14 亜炭(褐炭)鉱山
15 チャート採掘場
16 長石鉱山
17 陶土鉱山
18 柘榴石鉱山
19 珪石鉱山
20 磁硫鉄鉱鉱山

第2章 鉱物
1 花崗岩ペグマタイトの鉱物
2 水晶
3 宝石鉱物
4 金属資源鉱物
5 マンガン鉱物
6 スルカン鉱物
7 二次鉱物
8 蛍光反応鉱物
9 その他

第3章 雲根志的世界の石
1 天神石(花崗岩円礫)
2 文字石(水晶)
3 食い違い石(円礫)
4 ひょうたん石(ノジュール)
5 大一禹余糧(針鉄鋼ノジュール)
6 食パン石(アプライト)
7 化木石(アプライト)
8 帆立石(ホルンフェルス)
9 桜石と釘石(ホルンフェルス内の仮晶)

前書きなど

かつて、近江には多数の鉱山が存在していた。その中でも最初の鉱山と呼べるものは、古墳時代、湖南地域で多数製造された土器の材料となる粘土の採掘場である。その後、奈良時代頃から、鉄の材料となる磁鉄鉱が湖北、湖西方面で採掘されるようになった。これに遅れて、鈴鹿方面の方鉛鉱、黄銅鉱も採掘され、銀、鉛、銅に製錬されたものと思われる。しかし、鉱山の中でも特に金属鉱山と呼ばれるものは、古くから、国際的な状況に生産量が大きく左右されてきた。加えて、県内金属鉱山の多くは、鉱床が小規模であったことから、短期間の操業が多く、各種の鉱石の採掘、選鉱、製錬、運搬方法など、いつ、誰がどのように行ったのか伝える史料も少なく、不明な点が多い。この残された資料がわずかであるという点は、金属鉱山に限ったものではなく、他の鉱山全般にもいえる。今後の研究や発掘などで鉱山の歴史的実像が明らかにされることを期待してやまない。
 さて、今回、私がこの本の中で取り上げた【鉱山】については、大正15年(1926)発刊の『甲賀郡志』(以下郡志と省略)中のものや、明治6年(1873)に作成された『滋賀県管下近江国六郡物産図説』(以下図説と省略)に取り上げられている甲賀地域や湖南地域を中心としたものである。それらを、主要目的とされた鉱産物を基に分類した。また正確な史料の残されているものはわずかで、個人的な興味で選んだ。このため県内に多数あったマンガン鉱山や珪長石鉱山なども不十分で、地域的に偏ったものとなっているのではないかと思っている。そして県内では標本レベルの量でしかないが、金属資源とされる錫、閃亜鉛、モリブデンなどについては、鉱物のところで取り上げた。
 【鉱物】については、現在、県下で二百数十種程度産出するとされており、今後も分析機器などの進歩にともない増加していくと考えられる。分類は特に成分によらず、ペグマタイトの鉱物、水晶、宝石鉱物、金属資源鉱物、マンガン鉱物、スカルン鉱物、二次鉱物、蛍光反応鉱物、その他に分け、それぞれ産出の特徴などを説明している。
 【雲根志的世界の石】は、18世紀の近江に生まれて「石の長者」として江戸・大坂にまで名が知られた博物学の先駆者、木内石亭が興味をひかれ、その著者『雲根志』に載せた物や、益富先生が書かれた『石─昭和雲根志』の中からの物と私自身が興味を持った県内などの奇石のいくつかを(新)として取り上げた。
 記載した標本については、2点を除き私自身の採集品を自らで撮影したため、当然、もっとすばらしい標本や写真のあることをお断りしておく。また、石の楽しみ方は人それぞれ、千差万別であり、それぞれにおもしろいものであるが、本書に明らかな間違いがあった場合はご指摘いただければ幸いである。
 石の採集は宝捜しのようで大変楽しいものだが、最近、全国的に採集や立ち入りが禁止されるところが増えてきている。私自身も含めて、しっかり社会的なルールを守ることや、ヘビ、ダニ、ハチ、ヒル、クマなどにも十分気を付けて、地球の神秘に触れていきたいものである。

著者プロフィール

福井 龍幸(フクイ タツユキ)

1952年京都市に生まれる。幼い頃より鉱物や化石に興味を持ち、収集を始める。大学卒業後、滋賀県職員として勤務。日本地学研究会や湖国もぐらの会において、見分等を深め、早期退職後も県内外に出掛け鉱山や鉱物との出会いを楽しみ、展示会なども催している。


コメントはまだありません »

コメントはまだありません。

この投稿へのコメントの RSS フィード。 TrackBack URL

コメントする

所属シリーズ・ジャンル

琵琶湖博物館ブックレット近刊
ページの上部へ