自費出版年鑑2016

自費出版年鑑2016

NPO法人日本自費出版ネットワーク 企画, サンライズ出版 編
A5判 174ページ 並製
ISBN978-4-88325-602-0 C0002
奥付の初版発行年月:2016年10月
書店発売日:2016年10月23日
在庫あり
2000円+税

内容紹介

第19回日本自費出版文化賞受賞作を紹介し、応募された全書名、全著者名などを掲載。部門賞・特別賞、総評のほか、巻末に日本自費出版ネットワーク会員一覧、第20回日本自費出版文化賞の募集要項を付す。

目次

自費出版を支える意欲
 日本自費出版ネットワーク代表理事 中山千夏

自費出版契約ガイドラインについて

特別企画「東北の記録と記憶」応募作品

第19回日本自費出版文化賞
発表/受賞作品の紹介/講評/入選作品/その他の応募作品
書名索引・著者名索引
第19回日本自費出版文化賞 全応募作品

自費出版年鑑1998~2015総目次
第1~18回日本自費出版文化賞 受賞作品

NPO法人日本自費出版ネットワーク会員名簿

第20回日本自費出版文化賞 募集要項

前書きなど

■自費出版を支える意欲

中山千夏

 最近の大学生は、字が書けない。
そう聞いて、てっきり「手書きができない」という意味だと思いました。ところが、よく聞いてびっくり。もはやキーボード入力ができない、というのです。スマホことスマートフォンやタブレットが全盛の時代になりました。こうした機器への文字(数字、記号)入力は、片手の指一本で画面を叩いて(タップして)行います。キーボード入力は得意だが、タッピングは苦手な私は、いまだにスマホは使っていません。タブレットは、もっぱら読書やゲームやカメラやネット閲覧に使っていて、文字は書きません。
 しかし若者を見ていると、実に見事なタッピングで素早く文字を入力しています。常々、脱帽しておりました。ところが。
「今や若者にとって、字を書く、というのは、タップする、ということになってしまっているんですね。だから手書きはもちろん、タイピングも苦手になっています」。そうおっしゃるのは、今回から、日本自費出版文化賞の最終選考委員に加わっていただいた、大学教授の成田龍一さん。ええっ、と驚く私に、同じ選考委員で、大学教授を定年退職して間もない佐藤和夫さんも、「卒論をデータで出してよい、と言ったら、スマホを連打して書くのだ、と思った学生がいましたよ」。
 いやはや、茫然自失です。でも考えてみると、技術は変化しても、文字や図で記録することへの人間の意欲は、変わりませんでした。砂に棒で、石版に石筆で、ペンや筆で動物の皮や紙に、キーボードでコンピュータに、と技術は変転しても、見聞を、体験を、考案を、詩歌を、妄想を、記録することへの意欲は途切れませんでした。タッピングでスマホに入力するのが主流になっても、たぶん、その意欲が消えることはないでしょう。今でも、手書き派が絶えないところを見ると、記録の意欲は、猛烈な技術の暴走さえ抑えこむ力を持っているようでもあります。
 その意欲に、ひととの繫がりを求める意欲、きわめて人間らしい意欲が加わった時、出版が現れる。世の多くのことがら同様、今や出版は金銭欲や名誉欲に支えられているように見えますが、実は、出版とは、記録する意欲と、ひととの繫がりを求める意欲からなるものでしょう。それを明らかにするのが、日本自費出版ネットワークの存在意義だと思っています。
今年も、たくさんの自費出版を手掛けることができました。存在意義を証す作品を、文化賞に掲げることもできました。その成果をお届けするとともに、関係各位のご協力に深く感謝し、今後もよろしくお願い申し上げる次第です。

   

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