彦根ことば

翻刻版 彦根ことば

藤谷 一海 編著
B5 112ページ 並製
ISBN978-4-88325-461-3 C0081
奥付の初版発行年月:2011年12月
書店発売日:2011年12月26日
在庫あり
2000円+税

担当から一言

元々『彦根ことば』は昭和27年、弊社が藤谷氏に注文を受け、自費出版されたものである。酸性用紙に謄写版印刷という決して立派なものではないが、表紙は藤谷氏にちなんで藤色とし、バックには花柄を地紋として入れている。表紙装丁に気配りをしていた創業者の様子が目に浮かぶ。

内容紹介

 昭和17年から約10年間に亘り、彦根工業高校、彦根市立東中学校で生徒とともに蒐集した方言集の翻刻版。旧彦根市、磯、松原、磯田、原、鳥居本、高宮、河瀬、日夏、西甲良地域の方言約4000語を掲載。方言以外に農事や漁業で使われている言葉も掲載されており、当時の民俗・文化研究にも活用できる。

目次

はじめに
凡例
翻刻にあたって
彦根を中心とした方言の研究
彦根ことば

前書きなど

■はじめに
 わが彦根の地は古来歴史的な城下町であり、又地勢的には上方、北陸、東海の折衝地である。
 そんな事から経済、風俗、習慣等、頗る多様な意味に於て、世の多くの人々の興味と関心とを惹くことである。そこに行われる方言彦根ことばが、どんな様姿でこれらの人々の興味と関心とを抑えるかと云うことも、亦一つの関心事である。
 私が彦根ことばの蒐集に手をつけたのは、今から約十年前で、その頃学校の教育も唯一様一斉的であってはならぬと云うところから、正科の学課の他に、いろいろの研究班を設けてそれぞれ生徒が自ら望むところの研究を展ばさせようと云うような趣旨に基いて生れた一つが方言班であった。私はその頃県立彦根工業高校につとめてこれを指導していたが、その後暫く滋賀県中学通信教育部に転任した。その本部が彦根東中学校にあった関係上、僅かばかりであったがそこの授業をも手伝った。そんなことからその学校の方言クラブをも指導した。その間に生徒と一緒に蒐集したものを土台としてそれに後で自分が補足して、之を五十音に整理して、略々その事が完成したので、この夏急に思い立って印刷に附させようとした時、偶、東條操博士の全国方言辞典を繙いて、そこに尚、他地方に行われているもので、我が彦根のものと共通のものあることを知り、九百頁に近いこの辞典を始めから丁寧に繰っている間に、その一々のことばが、さて我が地方では之をどんなに用いているのであろうかと、わが彦根ことばに考えあわせて、そこに可なり多くのヒントを得て更に、多くの言葉を再考蒐集することを得たのは有りがたい事であった。
 あれこれ考えて見ると、一つのものの纏るまでには、そこに多くの人々の容易ならぬ苦労のお蔭が加わっていることを私は感ずるのである。
 殊にこの書の発刊に当って、態々題字及び序文を御執筆下された恩師吉澤義則先生の厚き御温情と、又印刷に当って多大の後援を惜しまれなかった東京宮下清次郎氏に衷心より感謝する。
昭和二十七年十月十八日 学園祭に因んで
   彦根短期大学附属工業高等学校
     国語研究室

著者プロフィール

藤谷 一海(フジタニ カズミ)

明治33年3月19日 岐阜県生まれ
昭和7年大谷大学研究科国語国文専攻卒業
昭和12年京都市立第一商業学校教諭
昭和17年彦根工業高校転任。念称寺住職拝命
昭和32年豊郷済美会附属図書館司書
昭和43年~53年 同朋大学に奉職
平成6年逝去
[主な論文・著書]
「親鸞聖人仮名聖教の研究」、「覚如上人仮名聖教の研究」、「真宗仮名聖教の研究」
『彦根ことば』昭和27年(私家本)
『滋賀県方言調査』昭和50年、『滋賀県方言調査』続編 昭和54年、『滋賀県方言調査』続々編 昭和61年(以上教育出版センター)

   

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