静岡の城

静岡の城 研究成果が解き明かす城の県史

加藤 理文
四六判 232ページ 並製
ISBN978-4-88325-460-6 C0021
奥付の初版発行年月:2011年11月
書店発売日:2011年11月17日
在庫あり
1600円+税

担当から一言

静岡、特に駿河の人は徳川の城とイメージするのでしょうが、個人的には井伊家の遠江・引佐が頭に浮かびます。中世から明治、そして現在の状況まで、この一冊で静岡の城の歴史を知ることができます。

内容紹介

かつて遠江・駿河・伊豆の3国から成る静岡県は、東国と西国の中間地点である。そのため国人領主に加え、北条・今川・徳川各氏、甲斐の武田氏により、城取り合戦が繰り広げられた。結果、城は改修・増強が度々行われたのである。そして天正18年から10年間は豊臣系大名により土造りの城から天守、石垣を持つ近世城郭へと変貌した。本書は鎌倉・南北朝から廃藩置県後そして、現在の整備保存までを纏めた必読書である。

目次

第一章 鎌倉・南北朝の城
 御家人の館
 南北朝の戦い
 南北朝の城の姿
第二章 今川の城
 斯波氏と今川氏
 今川氏親と北条早雲
 義元政権誕生と花蔵の乱
 今川最盛期の城
 今川氏真の築城
 徳川家康の遠江侵攻
第三章 駿河・遠江への侵攻
 家康の遠江平定と信玄の駿河支配
 信玄の遠江侵攻
 信玄侵攻に備えた家康の築城
 家康の反転攻勢
第四章 徳川の城、武田の城
 駿河・遠江に築かれた武田の城
 勝頼に対抗した家康の築城
 徳川か武田か、横堀と丸馬出
第五章 家康、五ヵ国領有時代の城
 本能寺の変と小牧・長久手合戦
 駿府築城と諸城の改修
 秀吉襲来に備えた北条氏の城
 徳川・豊臣が築いた城
第六章 豊臣系大名の城
 家康関東移封と新領主の入封
 瓦から見た駿河・遠江の城
 石垣の構築
第七章 徳川政権と静岡の城
 関ヶ原合戦後の駿河・遠江
 家康隠居と駿府築城
 小島陣屋と相良城・沼津城
 家紋瓦の使用
 自然災害による被害
第八章 明治以降の城の変化
 明治維新と静岡
 城跡の現況と保存・整備

前書きなど

はじめに

静岡の城と言えば、駿府城か浜松城を思い浮かべる人が多いと思います。いずれも、徳川家康が居城として使用した城で、どちらの城跡にも徳川家康の銅像が建っています。江戸時代を通じて、静岡県内には譜代大名が配置され、例外を除けばごく短期間で城主が変わっています。今で言うなら、移動の多いサラリーマンの支店なのでしょうか。石高も、三万石~五万石前後で、大城郭を築き維持管理するにはほど遠いものでした。………
中世から戦国期の城跡は、かなり多くが旧状を留め残されています。領国内を東海道が横切る静岡は、戦国期に隣国からの浸入を度々受けました。東から後北条氏、北から武田氏、西から徳川氏という具合です。静岡を領国に加えた戦国大名は、領国の拠点とすべく城を築き上げています。また、他国からの浸入を防ぐために国境に城を配置しました。それぞれの戦国大名が、独自の技術で築いた城が県内には多く残されています。静岡は、遠江・駿河・伊豆の旧三国によって構成されています。後北条氏の城、武田氏の城、今川氏の城、徳川氏の城、そして全国統一を成し遂げた豊臣配下の武将たちが近世城郭を完成させました。ひとつの県内で、これ程特徴的な城が見られるのが、静岡の最大の魅力です。
本書は、最新の研究成果や発掘調査成果等を検討し、静岡県内の城の歴史を再検討しようというものです。従って、静岡県の歴史の流れ、いわゆる「通史」を中心に据え、城が歴史の中でどのような役割を担ったのか、文字資料だけでは明らかにできないそれらの城本来の姿が、どこまで解ってきたのかに迫ってみました。本書を読むことで静岡県内の城の姿が見えてくるはずです。

著者プロフィール

加藤 理文(カトウ マサフミ)

1958年静岡県水窪町生まれ
1982年駒澤大学文学部歴史学科卒業
静岡県教育委員会を経て、現在磐田市立第一中学校教諭
主な著作
『城郭探検倶楽部』(共著)新人物往来社 2003年
『静岡の山城ベスト50を歩く』(共著)サンライズ出版 2009年
『熊本城を極める』サンライズ出版 2011年

   

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