▼室長補佐 若林 重一さん
▽インタビュー 編集部
▽申請があった1473名という数なんですが、彦根市の高齢者人口から言えば打倒な線なんでしょうか?
▼いえ、こちらが予想していたよりも少ないですね。
▽いま、彦根市が行っているリハビリ教室を取材してきたんですが、そこで高齢者の方に介護保険制度について話を聞いてみると、ほとんどが「よぉわからんのや」ってことだったんですね。知らない方がまだ随分おられるのでは、と思うんですが市の周知策としては?
▼現在、市の福祉サービスや保健サービスを利用しておられる方にはダイレクトメールでお知らせをしています。あとは市の公報に情報を掲載したり、民生委員さんに該当するような方のお宅を訪問してもらって説明をさせてもらうといった策を取っています。
わからない、知らないという方は確かにまだおられると思います。これまで200回以上説明会を行ってきましたが、そこに来ておられるのは比較的健康な方が多いようですし。
▽中には不満をどこに持っていけばいいのかという方もおられましたし、要介護度の認定に疑問を持っておられる方もありました。個々のサービスの金額を早く教えて欲しい、自分のケアプランについて一向に連絡がないというので不安がられている方もあったんですが。
▼サービスに対する不満というのは、ケアマネジャーに言っていただければいいのですが、言いにくいということもあります。その場合はこちらの推進室に言っていただければ、双方の話を伺った上で対処します。要介護度については、病状の重さで認定されるのではなく、介護の手間を物差しに認定が行われているため、そのことをご理解いただいていないと「矛盾している」と思われる方があるかもしれません。個々のサービスの金額について、厚生省からは先の2月10日にそれぞれのサービスの報酬が発表されましたが、解釈の仕方や加算すべき分についてまだ不明瞭な点があるためケアプランの作成が遅れています。今週中(3月6日月曜日から10日金曜日)には発表があるということで、それが出次第、実際には残りの半月で個々のケアプランを作成しなければならないというのが現状です
▽いまおられるケアマネジャーでまかなえる数ですか?
▼間に合わせなければならないんです。24の事業所についてもすべてが市内に事業所を持たれているわけではありませんから、ケアマネジャーの育成は今後の急務と言えますが、ケアマネジャーになるための試験は1年に1回ということもあって、現時点では苦しいところです。
▽ケアマネジャーだけでなく、全国でヘルパーの数不足も問題になっていますが、彦根市などの場合、ヘルパーが家の中に入ることへの抵抗感から少し事情が違ってくるんでしょうね。
▼ そうですね。昼間、家族が出かけている間に見知らぬ人が家に出入りすることに対して抵抗があると思います。ですから、誰かに来てもらうよりも自分が外に出ていきたいという高齢者が多いですね。そうなるとヘルパーの数よりも通所施設の不足が問題になるわけで、彦根市でいうと、宇曽川と犬上川に挟まれた地域にそういった施設がまったくありませんし、高齢者の増加が進んでいる城西、城東など、そういった地域に優先的に施設を作る必要があります。彦根市では平成12年度に2つの施設を建設予定です。
▽制度自体がまだぐらついた状況にも関わらず、なぜ4月にスタートしなければならないのか、疑問に思うのですが。
▼確かにスタートした後、混乱がまったくないとは言い切れませんが、仮に4月のスタートを遅らせたとしても同じことだと思うんです。現状のまま行政が「あなたにはこのサービスが必要です」と主導権を握っていたのでは、高齢者のニーズを押さえ込むことになる。それよりはとにかく制度を発足させて、軌道に乗るまで問題解決を図っていった方が良策だと思っています。
▽自己負担がどれぐらいになるのかわからないせいだと思うんですが「サービスを受けなんだらええんやろ」という声もありました。でもそう理解されるとまずいわけですよね。
▼もちろんそうです。ニーズが拡大される方向にあることを前提とした制度ですし、誰もが老いていくとサービスが必要になるわけですから。理解を深めてもらって、制度の浸透を図るため我々が全力を尽くすしかないですね。
▽お忙しいところをどうもありがとうございました。
(2000年3月6日)