滋賀県平和祈念館

平和祈念館の展示等

1 入ってすぐの床は滋賀県の航空写真になっており、空襲被害の場所などを確認できる、2 相談カウンター 3 秋季企画展示「八日市飛行場─飛行場があった街─」。什器は車輪付きで簡単にレイアウト変更ができる、4 同展展示の一つ、八日市みやげ「航空せんべい」

岸本 この館の特徴を教えてください。

北村美香さん 全国に戦争関係の資料を扱った博物館は数多くありますが、この滋賀県平和祈念館は、滋賀県の方々の戦争体験に特化し、地域の戦争体験を次世代に語り継いでいく活動を行っています。長い準備期間の間に、寄贈いただいた資料は2万5000点を超えました。そういったモノとともに、戦争を体験された方など、約1300人の方から聞かせていただいた体験談をもとに展示を行っています。

 それらの豊富な資料をなるべく多く公開できるよう、年3回の企画展にあわせて展示品とレイアウトを変えています。

 企画展は、年表などを用いた通史的な展示ではなく、特定のテーマを設け、それに関連したものを集める形にしています。現在(2012年秋)は「八日市飛行場」がテーマの企画展(12月22日まで)で、プロペラなどの部品から、飛行場と地元住民の関わりがわかる品々までいろいろなものをそろえました。

 どのような人の利用が多いですか?

北村 県内各地の老人会や自治会、近隣の小・中学生の団体利用が多いです。遠方で来館が難しい小・中学校には、写真パネルや資料の貸し出しを行ったり、職員が資料を持って学校に出向く出張授業も行っています。

 夏休み時期には、小学校の自由研究のために、おじいさんとお孫さんが連れだって来られている姿をよく見ました。

岸本 私たちは大学での専攻が考古学なのですが、寄贈品以外に地面から出土したものなどもありますか?

北村 戦争の出来事の中には、発掘調査でわかることもあります。例えば、シートベルトのメーカーとして有名なタカタ(彦根市)の敷地内から焼夷弾が出土し、滋賀県埋蔵文化財センターが調査されました。戦中は飛行ベルトやパラシュートをつくっていたので標的になったのです。出土した焼夷弾は、いずれ当館でも展示できればと思っています。

 また、終戦時に記録類が処分されてしまったために、口伝えでしか存在が確認できていなかった木曽飛行場(多賀町)についても、古代の遺物が多数出た木曽遺跡の発掘をしている最中に遺構が確認されました。

 私たちがゼミをとっている県立大学の中井均先生が、来年の平和学習講座では講師をされますね。

北村 1月から毎月1回行う学習講座「滋賀県の戦争遺跡」(全4回)[10ページ催し案内参照]で、中井先生には第1回と第4回をご担当いただきます。

岸本 参加者はご高齢の方が多そうですが、私たちでも参加できますか?

北村 年齢制限も参加資格もありませんので、大丈夫ですよ(笑)。興味のある回だけでもぜひ来てください。

貸し出し資料例

貸し出しされる資料の例。千人針(上)やゲートル(右下)などすべて本物で、持ち主の名前を確認できるものも多い。中央の花瓶状のものは、陶器製の手榴弾

戦争遺跡見学会

この夏には、館主催で滋賀県内の戦争遺跡見学会が行われた。写真は、蒸気機関車を敵の攻撃から守るために国鉄が岩脇山(米原市)に設けた列車壕(写真提供:滋賀県平和祈念館)

住 所 東近江市下中野町431番地
連絡先 TEL 0749(46)0300
入館料 無料
開館時間 9:30〜17:00
休館日 月・火曜日
アクセス 名神高速道路「八日市IC」から車で約10分/JR琵琶湖線彦根駅または近江八幡駅乗り換え、近江鉄道八日市駅からバスで約20分「愛東支所・診療所前」下車すぐ
平和祈念館MAP

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