サケ目サケ科
琵琶湖固有亜種
学名:Oncorhynchus masou subsp.
地方名:アメノウオ、アメノイオ、
湖北の漁師は単に「マス」とも呼ぶ
全長:30〜60㎝
分布:琵琶湖とその流入河川


形態 サクラマスやサツキマスによく似ているが、稚魚の時に体の側面に散在する朱点が、成魚になると消失する点で異なっている。
生態 稚魚は体長7㎝ぐらいまで川で生活し、6月頃、雨による増水に乗って、そのほとんどが琵琶湖へ下る(一部の雄は川に残り小さなまま成熟してアメゴとなる)。琵琶湖で2〜4年間、アナンデールヨコエビやアユなどを食べて生活し、10〜12月、成熟したものが川をさかのぼって産卵する。

人の利用 食用になる。サクラマスはサナダムシが寄生していることがあるので生食用に向かないが、ビワマスは刺身でも賞味される。1匹を丸ごと炊き込みご飯に入れた「アメノイオ御飯」は、1998年に滋賀の食文化財の一つに選ばれた。長浜市南浜町では、麴を混ぜたご飯で漬けた「コケラズシ」が祝い事などの際につくられる。

アメノイオ御飯 アメノイオ御飯
湖南・湖西地方の名称で、湖北では「マスめし」と呼ばれる
[写真提供:長浜市産業経済部商工振興課]

魚図鑑の写真

ビワマスの生活史

ビワマスの生活史

アナンデールヨコエビ
ヨコエビ目ヨコエビ科
体長:15㎜ 分布:琵琶湖 琵琶湖固有種
ヨコエビ目は、人間が食べるエビ(エビ目)とは異なり、多くが数㎜程度の小さな甲殻類である。低温環境を好み、琵琶湖北湖の深底部に生息している。殻の色素が、ビワマスの身がピンク色である由来とされる。


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 びわ湖の森の生き物3
 川と湖の回遊魚 ビワマスの謎を探る

 藤岡康弘 著
 サンライズ出版
 定価1,890円
 醒井養鱒場、琵琶湖博物館、滋賀県水産試験場(現、場長)に勤務し、
 ビワマスを研究してきた著者が、湖で進化してきたその独自性に迫る。

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新撰 淡海木間攫

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