2007年 11月 1日

築城400年記念出版いよいよ最終

国宝・彦根城築城400年祭もいよいよ終盤となった。来場者数は当初予想を大きく上回り、70万人に迫る勢いである。今週末には、例年、多数の観光客が来彦する城まつりが始まり、佳境に入っている。今回のイベントには、市内の若者が、さまざまな試練に耐えながらも果敢に独自の仕掛けを展開してきたことに大変大きな成果があったように思える。
近年、観光地として脚光を浴びる隣接の長浜市に負けて入られないという気概の表れかも知れない。従前からの「なんせ彦根は・・・」という消極的な市民感情が次第に薄れてきた背景には、大学の知力、行動力が彼らを後押ししたのかもしれない。産学連携ならぬ民学連携によるところの効果であろう。そして人気の「ひこにゃん」はいうに及ばず、イベント全体を盛り上げてくれた。
それはともかく、昨年秋以降、400年祭記念出版をどんどん出版してきた当社にとっても、いよいよ終盤を迎える。その一つが細馬宏通著『淡海文庫38 絵はがきのなかの彦根』である。『絵はがきの世界』(青土社)の著作があり、多彩な滋賀県立大学准教授の細馬先生の独特の視点が楽しい書籍になっている。
そして、もう一つが、藤野滋著『彦根藩士族の歳時記 高橋敬吉』である。高橋敬吉は狗佛という号を持ち我楽苦多宗の、メンバーとして三田平凡寺らとの交流があった。彼の犬玩具のコレクコレクションが彦根市に寄贈されていた。それが本年のイベントにあわせて「まちなか博物館」で公開された。小学生の頃、旧市立図書館に陳列されていたコレクションを覚えている私にとっては懐かしいものであった。その狗佛さんが生前書き残された少年時代の彦根での生活記録が今回、前述の書籍としてまとめられた。
 狗佛さんのコレクション公開に尽力した近江郷土玩具研究会を主宰する藤野さんならではの労作である。
「すごくきれいなのです。かつてこのようなすがすがしい生活があったことを知ってほしいと思います」と切々と訴えられた藤野さんの熱意にほだされて日の目をみることになった。狗佛さんは、井伊家17代当主で28年間彦根市長を勤められた井伊直愛さん、直弘さんご兄弟の家庭教師であり、戦時中に井伊直愛夫妻とともに彦根に居を移し、膨大な井伊家の史料整理に没頭された。晩年に34万字におよぶ、彦根藩武家屋敷で行われた年中行事などがまとめられたのであった。今回の出版はこれらを底本にしている。
京都女子大学准教授の母利美和さんから、「彦根藩には有能な家臣が多かったのです」ということをお聞きしたことがあったが、今回の書籍では清新な武士の生活の様子が伝わってくる。礼節を重んじる心、季節の移り変わりとともに流れる緩やかに、節目正しい暮らしぶりが、大藩彦根の武士の魂が感じられる。
『彦根歴史散歩』に始まった築城400年記念出版の最終にふさわしい2冊、自信を持ってお届けします。

イベントの始まる前から熱気を帯びていた「ひこにゃん」とともに楽しいことも多かったが、瞬く間の1年であった。関係者のみなさんご苦労さまでした。いやまだ、少し早いようでした。あと少しがんばりましょう。

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