2010年 10月 12日

京極氏のお干菓子

10月9日(土)に開催された上平寺戦国浪漫の夕べは、あいにくの雨で、
会場が伊吹薬草の里に変更され、ろうそくの灯りに包まれた上平寺庭園の
幽玄の世界には浸れませんでした。
でも、午後の講演会には多くの方が来場され、
熱心に講演会を聞いておられました。
 
で、私は…というと、毎年お茶席がかけられるので、そちらで一服。
 
 

なんとまあ、今回は京極氏の家紋のお干菓子が登場しました。
作られたのは京極氏の菩提寺・徳源院の奥様。
左の大徳寺納豆入りのお干菓子は和三盆の甘さと大徳寺納豆の塩味が
うまく融合していて、もうひとつ欲しかったくらいでした。
来年は晴れますように!! 

2010年 10月 11日

滋賀県は地味で良い?

ようやく『近江の祈りと美』の印刷も終わり、あとは製本を待つばかりになり、本日は久々に近くの山を散策し、自生の紫蘇の実を採ってきた。 
ところで滋賀県は国宝・重要文化財の仏像が全国で3番目に多いというのにもかかわらず、どうもそのことが全国に浸透していないのではないだろうか?
2007年に講談社が『週刊 日本の仏像』全50巻を出したが、奈良、京都、奈良、京都の繰り返しで、滋賀県と言えば、15号「湖北、湖東の観音めぐり」と27号「延暦寺千手観音と比叡山」の2巻のみ。あまりにも露出度が少ないというか、知られていない。 
まあ、観光寺院が多いわけではなく、拝観のときは、地元の寺世話さんに電話をして、お堂を開けてもらうというところも多いから週刊○○で派手にできないという理由はわからなくもない。 
ということは同じ講談社が発刊している『原寸大 日本の仏像』も奈良編と京都編の次は、たぶん出ないであろう。 
そんなわけもあり、このままだと滋賀県の仏像の本は絶対できないままになってしまうーっ!! といういわば危機的意識もあり、今回滋賀県の仏像をまとめた本を作ることになったのだ。 
ずっと作りたいという思いはあったが、著者の寿福さんと高梨さんにお願いしたのは昨年12月、なんとか来週出来上がる。 
タイトルにはあえて仏像とか彫刻という名前を入れず、装丁もきわめてシンプル。制作途中で、ケースはカラーにしようと変更したものの、表紙は文字のみというあえて「地味」にした。
派手でなくても良い。でも多くの人に近江のほとけさまを知ってほしい。

2010年 10月 6日

連日のイベント終了

10月2日岡崎市で開催したシンポジウム、200名以上のご来場をいただきありがとうございました。
県外からのご参加も多く、盛会でした。愛知城郭研究会、岡崎市教育委員会の皆さまに御礼申し上げます。
翌3日は「鳥居本宿場まつり」。お天気が危ぶまれたものの、4時頃までなんとか持ちこたえました。喫茶、食事処に加え、一般公開の民家も増えました。我が家の前のヴォーリズさんのお家の前は、ひっきりなしに、イベントが行われていました。
普段は静かな中山道ですが、各地から多くの方にお越しいただき、江戸時代の面影のこる町歩きを楽しんでいただきました。 

 

 
さて、次の土曜日は伊吹山の麓、上平寺「戦国のゆうべ」で本の販売をします。

2010年 10月 1日

仏像ってむずかしい3

今回『近江の祈りと美』を作るにあたり、とても悩ましかったのは、仏像の背丈です。
像高=頭から足先
総高=全体の高さ
座高=半跏像のときの頭からお尻
 
確かこういう区分だったんですね。
でも、像高が本によってマチマチなのです。誤植ということもあるけど、調べていくうちにどうやらそうでないような……。で、聞いてみると、まず、重要文化財として登録した時点での身長(像高)と、後で測ったときの身長が違うのです。
私たちが身長を測るときは、身長計に乗って測るけど、仏像の場合は身長計を持ってきて、それに乗っていただくわけではなく、たぶん金属製のメジャーかなんかで測るんでしょうね(実はどうやって測るかを高梨先生に聞きそびれてたわ)。だから、測る度にちょっとした誤差が、生じるらしいです。
それとともに、昔に文化財指定だった仏像は尺貫法だったので、それをセンチに換算すると誤差が出てきているということもあるようです。

2010年 9月 29日

仏像ってむずかしい2

以前、写真を裏焼きして印刷したことがあり、今回もそれだけはとても注意していたのですが、校正のときに発見し、ヒヤッとしました。
そこで、裏焼き防止策について、まず、ポジフィルムの左にギサギザがあるから、それと確認すること。
でも、たまにデュープしたものがさかさまになっていたということてもあったので、オリジナルでない場合は要注意です。
次に、仏像が薄い衣をまとっていて、これを天衣というのですが、天衣は左肩にかけておられるので、それに注目します。後は、既刊図録を見ながらチェックしました。
 
三尊像などでは、右左が決まっているかと思いきや、逆の場合もありました。たとえば不動明王さんの右にはセイタカ童子君で左はコンガラ童子ちゃんが一般的みたいなのですが、逆の場合もあります。一番悩ましかったのは、三尊集合写真がなくて、一枚撮りのときです。このときは、直接お寺に電話をして確認しました。

2010年 9月 28日

仏像ってむずかしい1

ようやく、校正が終了しました。来月19日に発売の『近江の祈りと美』。 
内容はというと、近江の仏像、神像を収録した本で、図録風に280頁がカラーで、後半は「近江の彫像」という本論、そして滋賀県におられる国宝・重要文化財・県指定文化財の彫刻一覧を掲載します。
 
さて、仏像の本を作りたいと常々思っていたものの、結構難しいことがいっぱいでした。
まずはその1。
仏像のお名前、実は同名がいっぱいおられるということです。
一般には「素材」「種別」「立っているか、座っているか」というのでお名前が決まります。
たとえば「木造十一面観音立像」「銅造如意輪半跏思惟像」「木造大日如来坐像」というふうに
だいたい三つのパターンの組み合わせなのですね。
 
そこに、その仏像の所属するお寺の名前をつければ、どこの家の花子さんとか太郎君ということでわかるかといえば、おっとどっこい、同じお寺に十一面さんや阿弥陀さんがいっぱいおられるわけでして、つまり同姓同名のお方が同居しておられます。
そこで、次に年上か年下か、つまり製作された時代で区別することになり、お名前の後ろに○○時代とつけます。でももっと大変なのは、大きなお寺だと、同時代に造られた同姓同名さんがおられて、時代別では足りず、今度は昔はお寺のどこに住んでおられたか(○○寺旧蔵)とか、像の底をひっくり返して身体検査をすると、お腹あたりに何年に像を造ったとか、願い主は誰々とか、製作者の名前が書かれていたりするので、それを頼りに(○○年銘)とか(○○作)というふうに見分けをつけるのです。

10年ほど前にあるお寺のリーフレットを作成したとき、重要文化財の十一面さんが2人一度に登録されておられていました。2人と書きましたけど、仏像は人間ではないので2人というのは間違いで、躯(く)と言います。だからこの場合も2躯おられました。ご住職も「さてどちらだったやろう」と写真を取り出して本人と見比べておられました。この十一面さんは背丈も同じくらいで平安時代の作。最後は顔で判断しました。あとでわかったのですが、平安時代の作でも、少しお歳を召した風の方が早い年代に造られたものだったようです。
今回の本で、とても似ておられたのは、延暦寺の慈恵大師さん2躯と金剛輪寺と常照寺の阿弥陀如来さんです。
不思議なもので、仕事をしているうちに少しずつ判別できるようになりましたが、できれば「十一面1号、十一面2号」というように名前をつけてほしかったと思ったものでした。

2010年 9月 23日

仏像の本がもうすぐできます。

読者からよく「仏像の本」はありますか?とお問い合わせをいただいていました。既刊本では『近江観音の道』や『近江湖北の山岳信仰』などがあるものの、滋賀県の仏像を集大成した本はちょっとやそっとで作れるはずがない。でも、いつか作りたいと思っていました。 
1930年に創業したサンライズは今年80年を迎え、昨年秋頃から何か記念になるような本を作ろうと考えていたこともあり、作るのなら今かも…ということで、清水の舞台を飛び降りる気持ちで取り組んだのが今回の『近江の祈りと美』です。
遅ればせながら、ようやく予約申し込みのリーフレットができました。リーフレットには掲載尊像一覧も入れておりますので、最寄りの書店でご覧ください。

 

2010年 1月 19日

本が先生

「手前味噌」ではあるが、手作りした味噌は本当に美味しい。
3年前に生協で麹を買って作ったところ、家族に好評だったので、東京にいる妹にも送ってあげた。妹は「恐る恐る食べたら、美味しかった」という感想。これは喜ぶべきか、怒るべきかと少々悩んだ。
去年からは、地元産で賄うべき、麹は花しょうぶ通りの「麹七」さん、大豆は道の駅とか農協で売っている「生産者○○さん」というのを買っている。
16日の土曜日、前日から水に漬けておいた大豆1.5キロを七輪でコトコト炊いたのと、0.5キロは2番目の姉にもらった圧力鍋で炊いて、準備万端。

20100117_1.jpg

大豆を水に漬けている容器は我が家では「べに鉢」と言っているのだが、直径が30センチと36センチ位の陶器製で、実に使いやすい。祖母の代には恐らく味噌も作っていただろうから、たぶんこの「べに鉢」で大豆を水に漬けていたんだろうな?

20100117_2.jpg

そして、味噌作りをしようと思い立ったきっかけが、こちらの餅搗き機。たまたま餅米をもらったので、「餅搗き機が欲しい~!!」と言ったら、母が買ってくれたのだが、取説を読むと、味噌作りレシピが書いていたのだ。

コンビニもない田舎に住んでいて、この歳(昭和28年生まれ)で味噌作りと言えば、ふつうは母親から伝授してもらうのだろうが、残念ながら母は都会育ちのため、そんなことは知らないから、セッセと手作り食品の本を見ながら、作ったのだった。

そうね、聞く人がなくても、本を見ればわかる。
前置きがずいぶん長くなってしまったが、本はそういう意味でとても重要なものなのだ。

ちなみに、『つくってみよう滋賀の味』もずいぶん活用させてもらっている。
最初に作った本2冊が品切れとなったので、2冊の主なレシピを併せて『新装合本 つくってみよう滋賀の味』を先月刊行しました。

あっ、味噌作りレシピは、この本には掲載されていませんのであしからず。

2009年 7月 9日

明日から東京国際ブックフェア

2009年7月9日から12日まで、東京ビックサイトで「東京国際ブックフェア」が開催されます。
ブックフェアって大手の出版社が出展するのであって、零細版元はどんな本が出ているのかと、
たまには観に行くのもいいのかなぁと思っていたのですが、
昨年、入会している版元ドット・コムで共同出展するというので、参加しました。

そして、今年はブースが広くなったというので、2棚分の本を展示することになりました。
それとともに、ブースで開催されるトークショーでサンライズからはお二人の著者にお話をしていただきます。

「杉原千畝と命のビザを辿る」 寿福 滋氏
7月10日 午後1時20分から

「お城の見どころ、歩き方」  中井 均氏
7月11日 午後3時50分から
 
大型モニターも設置されているそうなので、
会場では画像を見ていただきながらのお話です。

詳しくはこちらにも、写真入りで掲載されています。
 
本来ならば、前日から搬入・陳列に出かけなければならないのですが、
遠隔地からの出展分については、東京のメンバーさんが陳列してくださるので、
とても助かります。
版元ドット・コムの会員さんって本当に行動が早い、情報も速い、親切で優しいんです。
わからないことを問いかけると誰かが回答してくださるし、
田舎で細々している私どもにとってはとてもありがたいことです。

そんなわけで、私は開幕日の明日から11日まで会場に行きます。
お時間がございましたら、ぜひご来場のほどを。

2009年 6月 13日

山口晃さんと羽鳥書店

早春に大山崎山荘で開催されていた山口晃さんの展覧会に行き、細かいところまで楽しませてくれる作品に感激した。「洛中洛外図」は見学者が少なければ30分はあの場で楽しめただろうに…。また「最後の晩餐」の絵で左に座っていた武将の物憂げな目とテーブルに置かれたポテトの袋がやけに気になっていた。そして電柱を華道に見たてたのは圧巻。
いつしか「是非とも山口先生に装丁をお願いする本を作りたい」と思った。普通は本の中身ありきで、その次が装丁なのだが、たまにはこういう逆もありかも……。

ところで、会場でガラスケースに入っていた「すずしろ日記」がまとまって一冊の本になるそうな。
そして、その版元は羽鳥(はとり)書店。

私はサルやイノシシが近所を徘徊している田舎で仕事をしているから、都会の様子はあんまり知らないのだが、ネットをググルと羽鳥書店さんは東京大学出版会にいた羽鳥さんって方が出版社を立ち上げたという。会社のロゴはあの原研哉さんが作ったというから、そういうネットワークでずっとお仕事してはったと判明。
そうか、光村推古書院さんが発行元だった図録と一緒に買った『山口晃が描く東京風景』は東京大学出版会が出していたなぁ。
そして、すずしろ日記は東大のPR誌「UP」に連載されていたのね。

たまたま、おととい、アート関連の仕事をしている妹に山口さんのことをメールに書いて、
昨日光村の社長さんから「山口さんの本、増刷しましたわ」と聞き、
今日版元ドット・コムのサイトをみたら「羽鳥書店さんが入会しました」って書いていた。
なんか、こう連続っていうのはちょっと驚いてしまうけど、
でもきっと近々、鳥さん、いや羽鳥さんにもお出会いするだろうことを楽しみにしている。

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