2008年 3月 07日

源氏物語の近江を歩く

ようやく春めいてきて、クリスマスローズもひそやかに咲き始めた。
しかし、湖国の春は比良八講荒れじまいといわれ、3月23日ころの嵐が済まない本格的な春が来ないといわれるので、まだしばらくは、まさに三寒四温の日々が続きそう。
 この比良八講は、仏教の法華八講の形式が継承されたものだというが、このほど発売した『源氏物語の近江を歩く』には、たびたび法華八講が登場する。源氏物語と近江との関連するものといえば、従前より、紫式部が詣でて、名月の夜に源氏物語の構想をつくったことで知られるが、著者の畑裕子さんは、紫式部が京から越前に向かう琵琶湖での心の動きを丹念な筆致で紹介されている。
 源氏物語の舞台は京都が圧倒的に多いが、要所要所に近江が登場する。光源氏のモデルといわれる源融を祀る仰木の融神社をはじめ、石山寺はもとより比叡山、深坂古道などゆかりの土地は多い。本書では近江ゆかりの源氏物語と作者式部の作家としての心情が細やかに描写されている。是非近江ゆかりの源氏物語の世界散策のお供に携帯いただきたい。
 『近江戦国の女たち』では、語り口調がリズミカルな心地良さが感じられたが、今回の畑さんはかなり大胆な推理を交えながら、新たな境地を開拓されたように思える。1作ごとに素晴らしい、まさに、今旬の人といえ、本書から式部の心情と古代近江の歴史がやさしく流れる。
源氏物語千年紀イベントはいよいよ3月18日に始まる。

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