2011年 10月 31日

江の父、浅井長政を活写

長浜城歴史博物館の太田浩司さん著の『浅井長政と姉川合戦―その繁栄と滅亡への軌跡』がようやく完成し発売となった。大河ドラマの方も、いよいよ終盤、どのあたりで終息するのかが楽しみであるが、このドラマの時代考証チームとして活躍した著者がテレビでは表現されなかった浅井家と長政に全容について、新事実を基に書き下ろした力作である。
戦国時代の事実の多くが、江戸時代以降に作られた創作などが真実味をもって世間に流布していることに対する挑戦状ともいえる内容に仕上がっている。「『戦国の常識』は意外と根拠がないものが多く、江戸時代に作り上げられた常識だったりする」といい、いくつかの浅井氏についての常識に疑問符をつけられた。
そのひとつが浅井軍は姉川合戦で大敗していない、というものである。
現在古戦場跡をめぐると血川、血原など合戦の凄まじさを物語る地名が残り、かなりの犠牲もあったのであろうが、則、浅井氏の大敗ではなかったらしい。従来の説には徳川時代の歴史観が多大に影響しているのだとのこと。あまり詳しくここで述べられないが、永年、北近江の地に腰を据えながらも広い見識をお持ちの著者の説をどうぞ本書でお楽しみいただきたいものである。
本来は、昨年か本年早い時期の発行を目指していたのであったが、何分、忙殺という言葉どおりの太田さんの日常生活ぶりに接しているといさかか気が引けて、やいやい言えず、ようやくの発行となった。お待たせした分、大いに満足いただけると太鼓判を押したい。

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