2009年 2月 03日

安土城再建!!

先日、安土城を作ろうという本の発売告知があった。なんでも完成までに10数万円の投資が必要らしいが、50センチ程度の安土城天主が完成するというものだ。城ファンならずとも心躍る企画である。過去にも企画があったが、ようやく陽の目を見たという。『安土城 信長の夢』の表紙には内藤昌氏の安土天主の復元図を用いたが、今回の企画は、広島大学の三浦正幸氏のものである。

ところで本物の安土城を作ろうという話しが30年前にあったと聞いた。元滋賀県知事武村正義さんが、知事時代に近畿知事会議の席上で、景気浮揚対策の一環として滋賀には安土城を、京都には羅生門を、奈良には平城京をという具合に、建設当時の形で再建しよういう提案をしたのだという。

お話によると、西欧では焼失した価値が高い建築物の復元の例は多いが、日本では、かなり曖昧に、お茶を濁した再建をしているといわれる。文化を残すためには、建設当時そのままの形が望ましいというものだった。
ただし、正確さが要求されるので再建はかなりの困難な問題が多いという。話を聞いて早速に「再建はわが社で」という引き合いまであったという。
それはともかくも、景気対策としては妙案だと思う。

近年「三方よし」という言葉が独り歩きしてすっかり有名になった近江商人は、利益を社会貢献事業に費やしたことで知られる。近江商人の社会貢献は、人知れず善行をおこなうことで陰徳善事といわれ、不況時に自宅や寺社を建設した「お助け普請」は、民間による公共事業投資であるといえる。城主などからは、この時代に贅沢なという批判もあったらしいが、不況だからこそ建設をして仕事を作り、食べられる生活を求めるという目的を聞いて、批判なく許可されたという。
現存する近江日野商人館や豊郷町の豊会館などは、お助け普請によって建設されたものである。
安土城の再建とまでいかなくても、財政難を理由に、文化施設を閉館に追い込むだけではなく、いまだからできる新規事業で新しい価値を見出すことが求められているのだと思うが、いかがなものか。ピンチはチャンスという元気な企業者の声も聞かれる。景気回復には時間がかかる様相であるが、今だからできることもあるのではないかもしれない。冷静に見つめなおしてみたいものだ。

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