新撰 淡海木間攫

其の74 山内ふるさと絵屛風

甲賀市土山歴史民俗資料館 駒井文恵

山内ふるさと絵屛風 山中(部分)

山内ふるさと絵屛風 山中(部分)  中央を走る東海道を中心に、虫取りや川遊びなど懐かしい情景。牛の仲買人がぞろぞろと牛を引くさまは、当時の街道の様子を彷彿とさせる。


 昨年(2018年)、土山町山内6地区のふるさと絵屛風が完成しました。これは地域住民の暮らしの記憶を形にして未来へつなげる取り組みで、市民団体の山内エコクラブの活動の一環として行われたものです。

 ふるさと絵屛風は、完成までの過程が重要とされます。聞き取り、下絵の制作、絵屛風への清書を進めていく中で、人々のつながりが生まれ、日に日に高齢者が生き生きしていく様子が見られました。描かれた内容はふるさとへの思いにあふれています。年上の子が年下の子の面倒を見たこと、屋根の萱葺きの手伝い合いをしたこと、川をせき止めて泳いだこと、ササユリの咲き誇る風景など、人と人の豊かなつながりや人が自然とともに暮らしてきたことを再認識させるものとなっています。現在、土山歴史民俗資料館では、山内ふるさと絵屛風とそこに描かれた民具を紹介していますが、制作過程にも注目しながらご覧ください(会期:1月27日まで)。

 さらに今年度から、市民協働事業で「記憶文化財を活用した地域博物館プロジェクト」に取り組んでいます。これは、絵屛風と市内の資料館の保管民具を使った事業を中心に展開していくもので、今後は「昔の暮らし」授業や「お出かけ回想法」など子どもから高齢者まで幅広い人を対象にした事業を進めていきます。このように絵屛風は、歴史文化だけでなく、学校教育、福祉医療、観光、人権など、幅広い分野での活用が期待できます。

 関連事業として、2月10日13時30分から、あいこうか市民ホール展示室でフォーラムを開催します。絵屛風提唱者の上田洋平氏をコーディネーターに、健康福祉医療や観光などの専門家、地域の絵師をパネラーに迎え、絵屛風のまちづくりへの活かし方について県内の絵屛風先進地の事例も参考にしながら深め会う機会とします。思い出がつまった記憶の玉手箱、一緒に開けてみませんか。

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