新撰 淡海木間攫

其の73 兵主大社伝来の太刀 一口

野洲市歴史民俗博物館 齊藤慶一
兵主大社伝来の太刀
 近江を代表する古社、兵主大社は滋賀県野洲市五条に鎮座しています。
 この兵主神については、慶長9年(1604)の「兵主大明神縁起」(同社蔵)などによると、今から1300年前の養老2年(718)10月上旬に、琵琶湖を渡ってきた神として記されています。
 当館では、平成30年10月20日㈯から12月2日㈰にかけて開館30周年特別展「遷座一三〇〇年記念 兵主大社展─琵琶湖を渡って来た神さま─」を開催し(月曜休館)、同社ゆかりの文化財を紹介します。同社伝来の文化財の特徴の一つとして、数多くの武具が伝わっていることがあげられます。
 これは、兵主神が、古代中国において「莵尢」と呼ばれる兵器創造神であり、軍神として信仰されていたこと、さらに「兵主」が「つわものぬし」と読めることから、武士から崇敬された歴史の影響と考えられます。
 今回は、その伝来品のなかから、初公開となる太刀を紹介します。
 太刀は、刃を下に向けて腰につり下げる刀剣で、刃長(刃の長さ)がおおむね2尺(約60㎝)以上のものです。紹介する太刀は作風上から、小反物の刀工によると考えられます。小反物の意味は明確ではありませんが、南北朝時代後期の備前長船刀工の一派を指す呼称です。備前国長船(現在の岡山県瀬戸内市)は主要な刀剣産地でした。同社伝来の太刀の銘は、「宀」(うかんむり)1字のみ判読でき、小反物一般に共通する銘振りであることから南北朝時代から室町時代初期の作と考えられます。発見当初、太刀は錆びていましたが、創建1300年に合わせて研ぎ磨かれ、ふたたび、その美しさを鑑賞できるようになりました。
 11月13日㈫から12月2日㈰にかけて公開する太刀(刃長73・0㎝)をご観覧ください。

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