2007年 9月 25日

琵琶湖文化館閉館か

屋根の上のトンボが象徴的な琵琶湖文化館が閉館されるらしいという。
滋賀県で最も古くまた収蔵品(寄託が多いらしいのだが)も多く、残念なことである。

国宝、重要文化財、県指定文化財など合わせて70件以上を越え(『淡海の博物館』より)、近江の文化の特質を知ることが出来る有数の施設である。

ただし、エレベーターがなく、職員のみなさんの負担は大きいという。それでも、毎年、素晴らしい企画展が開催される。しかし、入場者はいつも多くはない。

かつて、写真家の壽福滋さんが、水族館跡のギャラリーで「杉原千畝」の写真展を開催されたが、会場の特質を旨く利用された素晴らしい写真展であった。この施設でこんなに感動的な構成ができるのかと目を見張ったものである。

閉館となった過程の中では、建物の老朽化というだけではなく、利用の仕方や運営面にも大きな問題があったのではないかとも思える。

閉館となれば、ここの多くの文化財はどこに行くのだろうか、心配なことである。

水族館施設が琵琶湖博物館に移ったことも入場者減に結びついているのかもしれないが、ここに至るまでになんらかの方策がなかったのであろうか。
全国で有数の文化財を保持する滋賀県に文化博物館も文書館もないというのは、あまりにもお粗末なことである。

幸いにも、近年、県内には民間の優れた博物館施設が誕生し、積極的な企画展の開催や設備拡充で、大きな成果を見せている。そしてこれら施設に訪ねた人が周辺観光地に立ち寄り近江の文化の奥深さに惹かれる人が多い。先だって取材のお手伝いをしたTさんもその一人。

「白州正子の世界展」で初めて近江に来て、大きな感動を受け、そしてご自身が担当する雑誌に近江特集を組んだのであった。
昨日、出来上がった雑誌[ACT40]が届いたが、「日本の憧憬を往く、近江」と題した近江特集は素晴らしい近江の文化を紙面一杯に構成されていた。

今までに見たどの近江特集よりも素晴らしく、おそらくTさんのあふれんばかりの感動がこのような形になったと思う。女性が読者だというが、この反響は楽しみである。

琵琶湖文化館の行く末も心配ではあるが、何よりも多くの文化財のこれからの行く末が気がかりである。

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